伝統と創造

 -Connective Tissue誌DVDの発刊に寄せて-
日本結合組織学会(JSMBM)

理事長 稲垣 豊
 
 この度、(旧)日本結合組織学会(JSCTR)の機関誌Connective TissueのDVDを発刊する運びとなりました。ご承知の通り、本学会は大高裕一東京医科大学教授らが礎を築かれ、1969年に大島良雄東京大学教授を会長とする第1回の学術大会が開催された、今年まさに50周年を迎えた歴史と伝統を有する学会であります。その特徴は、マトリックス関連分子や病態解析の専門家が一堂に会し、基礎から臨床まで幅広い領域の研究者が自由闊達な意見交換を行う場として、大きな発展を遂げてきたところにあります。近年、細胞外マトリックスが果たす生理的ならびに病理的重要性が一段と明らかになる中で、本学会は2015年4月1日付けで同じく半世紀以上の長い伝統を有するマトリックス研究会(旧 コラーゲン研究会)と発展的統合を果たし、わが国における当該研究領域のさらなる発展と若手研究者の育成、さらには国際交流の活性化に向けて取り組んでいるところであります。
 数年前から、複数の会員よりConnective Tissue誌の保存を望む声が強く上がり、理事会で検討を行ってきました。言うまでもなく、同誌は我が国の先達が築き上げてこられた歴史と研究成果が凝縮された学会の大きな財産であり、散逸したり紙質が劣化したりする前にDVD化できないものかと考えました。幸いにも、株式会社ニッピのバイオマトリックス研究所に1970年発刊のVol. 2から最終巻となる2004年のVol. 36までがほぼ完全な形で残っており、同研究所長の服部俊治本学会監事にワーキングの座長になって頂き、具体的検討に着手して頂きました。服部監事の献身的ご尽力により、Connective Tissue誌に加えて第2回以降の学術大会のプログラム抄録集や旧コラーゲン・マトリックス研究会の学術大会記録集も一緒に収載できることになりました。さらには、Connective Tissue誌廃刊後に林利彦名誉会員や故 二宮善文会員の多大なご尽力によりJSCTRの機関誌としての性格を付加されたConnective Tissue Research誌のJSCTR Page(当時)に林利彦名誉会員が寄せられていた含蓄あるCommentaryも含めることができたことは、大きな喜びです。
 さて、歴史は単に古いことが尊いのではなく、その間に何がなされてきたか、またこれからは何を目指していくかにより評価されるものと考えます。会員諸氏におかれては、このDVDに収載された結合組織・マトリックス研究の成果と先達の姿に思いを寄せるとともに、わが国における当該分野の一層の発展のため、独創的・創造的研究の推進に寄与頂くことを期待いたします。

平成30年3月吉日